お医者さんとしての2年間を終えて。

 本日、3/31 (日)の朝、3/30 (土)の朝9時からの24時間当直を終え、僕の2年間の初期臨床研修が無事修了となりました。2年間、出身大学である東大の附属病院である東京大学医学部附属病院で、忙しくも楽しい研修を続けることが出来ました。
 自分のお医者さん人生最後の日は、真夜中の急患で睡眠時間1時間半と言う、自他共に認めるいかにも自分らしい24時間当直でした。
 この2年間で研修させて頂いたところを列挙してみると、
 心臓外科・脳神経外科・救急部(ER, ICU)・循環器内科(一般病棟, CCU)・消化器内科・呼吸器内科・血液内科・放射線科(診断部, 治療部)、臨床研究支援センター、女性外科、精神科、産婦人科、小児科(NICU, GCU)、地域医療
と、全身管理、集中治療を中心に、かなり広い分野を、それぞれ浅くではありますが学ぶことが出来たように思います。
 2年間を振り返ってみて自分にとって最も興味深かったのは、自分としては医者になる前となってからとで態度や振る舞いを変えたつもりは全く無かったのに、周り、特に同世代からの自分の評価が今までと全く異なっていたことだったと思います。
 学生時代は、「ノリが悪い。」「話が面白くない。」「声をかけづらい。」と何度も言われてきましたが、医者として働き始めた瞬間、「先生は質問しやすいですね。」「話を聞いてくれるので助かります。」と言われるようになり、夢の扉で上級医の先生が仰って下さいましたが、「患者さんとのコミュニケーションも良いですね!」と良く言われ、2年目の途中からは患者さんがいる中で、看護師さんや上級医の先生方からも「社長~!」と言う愛称で呼んで頂けるまでになりました。
 自分の中では本当にスタンスは何一つ変えていなかったのですが、あまりの違いに本人もびっくりでした。
 医者をやりつつ病院の外ではCGのことばかりやっていて、医者としての能力・知識が並はずれていたわけでは全く無かったのに、なんでここまで違ったんでしょう。
 自分なりに考えてみると、たぶん、良くも悪くも
 ・年上だろうが年下だろうが、目上だろうが目下だろうが、教授だろうが学生だろうが、相手が誰であっても接する態度を変えない
 ・わからないことは即座に「すみません、わかりません。」と言う
 ・理不尽なことでない限り、下の学年は下の学年として雑用をきっちりこなす
と言う自分の性格が上手くはたらいたのかなぁと思います。職場の方々からは、「裏表がない」とか「まっすぐ」とか「嘘つけないよね」とか「わかりやすいよね」、そんなふうに言われていました。
 お医者さんは患者さんを扱う仕事ではありますが、看護師さん、薬剤師さん、栄養士さん、技師さん、はたまた看護助手さんや清掃員の皆さんなど、多くの方々と良好な人間関係を築き、コミュニケーションを取ることが最も大切で、本質は他のどの職業とも変わらないのかな、と言うのが僕の2年間での印象です。確かに、エビデンスやら経験やら、理論的な思考やら、優秀なお医者さんとして必要なものはたくさんあるのですが、知識面や技術面がどんなに優秀でも、一緒に働いている周りの皆さんが協力してくれなければ何も出来ません。逆に、知識や技術はまだまだ一流とは言えなくても、周りの皆さんと仲良く楽しく出来る人であれば、どういうわけか自然と助け合いの精神というか、相乗効果というか、とにかく知識も技術も向上するように感じました。
 で、僕はよく病院内で、「先生は顔が広いよねー」とよく言われたのですが、これは決して自分だけが顔が広いと言うわけではなく、接している人数だけで考えれば他の先生方ときっと同じくらい。違いは、ある科を離れて別の科に行っても、元の科の皆さんとたまたますれ違ったときやどこかで再会したときに「あっ!久しぶりですね!」と言えるくらい仲良くなっているかいないか、それだけなんじゃないかなぁ、と。
 「あの人はお医者さんだから。」「あの人は看護師さんだから。」とか、「教授だから電話して良いのだろうか…。」とか「栄養士さんとか電話しにくいなぁ。」とか、そんなことは全く考えずに、疑問に思ったら相手が誰であろうと質問するし、それは間違っていると思えば相手がベテランであっても自分の意見を言う。自分より経験が少ない人の方が実は自分より優秀な場合に、それを素直に認める、直接話した相手のことは顔と名前を覚えるように努力する、などなど、相手の立場や身分は全く関係なく、誰にでも同じ態度で接し、次に同じ人とやりとりをする際に、名前で言い合えるくらいになるように頑張る。
 それをすんなり出来るかどうかで、愛称で呼ばれたり、話しかけやすいですね、と言って頂けたり、と言うことに繋がるのではないかなぁ、と思いました。これを実現するためにはノリの良さとか話の面白さとかは必要ありませんから。
 お医者さんとして学んだことももちろんたくさんありますが、細かい知識その他をここで書く気は全くありません。
 やっぱり最後はコミュニケーションが取れるかどうか、お互いに信頼しているかどうかなんだなぁ、と。別に話は面白くなくても良いし、ノリが悪くても良いのです。
 …と、言うことを実感した2年間でした。
 明日、4/1からは、いよいよ株式会社サイアメントの代表取締役としての人生が始まります。前途多難、厳しい山ばかりがそびえ立っていますが、誰が何と言おうと明日2013年4月1日から株式会社サイアメントの本格スタートです。
 医学部6年間+研修医2年間と言う8年間は、ある意味レールの上を走っていたというか、悪い言葉で言えば、適当にやっても何とか走れる8年間でしたが、ここから先は自分でレールを作らないと、明日のレールすらないような状態です。
 倒れるくらい必死に働いても自分の給料を確保するのが難しいような、そんな日々が待っています。
 サイエンスCGを「仕事」にするのは、ほとんど不可能なのではないかと思うくらい、現実は厳しそうです。
 いったいどんな未来が待っているのでしょうか。
 


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お医者さんとしての2年間を終えて。 への2件のフィードバック

  1. 近藤 のコメント:

    初めまして。
    「夢の扉」を拝見して、瀬尾拡史さんのことを知りました。
    私は今年の四月から看護師として働いています。職場の方達と良い関係を築いていけるか少し不安です。でも、瀬尾さんが仰るように特別なことをするのではなく、挨拶をしっかりして相手を尊重した関わりをしていけば、自然と馴染んでいけるんだなぁと思いました(^ ^)
    瀬尾さんのスタンスを参考にさせていただいて頑張ります!
    いつか瀬尾さんのCGで人体について勉強できるのを楽しみにしています☆!

  2. ray のコメント:

     初めまして、勤務医の者です。 
     瀬尾先生の作品を何度か拝見させていただきました。
     人体の情報は非常に煩雑で、活字では非常に分かりにくいです。
     しかし、3D映像により、多くの情報を分かりやすく伝える事ができ、非常に重要な仕事をされていると思います。
     会社の運営していくのは大変な挑戦かと思いますが、頑張ってください。これからも、陰ながら応援させていただきます。

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