「スパコン京を知る集い」に行ってきました。

 
 今日は理化学研究所が主催するシンポジウム
 「スパコン「京」の今後はどうなるの? ~スーパーコンピュータ「京」を知る集い 特別版~」
 http://www.aics.riken.jp/shirutsudoi/meeting15.html
を聞きに東大まで行ってきました。
 一言で感想。
 めちゃくちゃつまらなかった。
 開催主旨には
 今回は、本格運用開始後10か月が経った「京」による成果をまとめてご報告するとともに、「京」の今後について、講演とパネルディスカッションにより分かりやすくご紹介します。
と書かれていたので、スパコン京を使ってどんな素晴らしい成果が得られたのか、ワクワクするトークとワクワクするスライド、映像を期待していたのですが、完全に的はずれ。
 これまで京を使って計算した諸々のプロジェクトの成果報告が複数例紹介されたのですが、どれも計算結果をその通り可視化しただけのものだったり、或いは思いっきり中途半端にエフェクトつけたり、単純化しすぎてわからなかったり。
 すんなり頭の中に入ってきたのは雲の動きの計算とか、津波の予想とか、日頃からニュースなどで何となく見ているものだけで、例えば薬物設計の分子動力学計算とか、物質が振動しているCG映像を何となく見せられただけで、どこがどう凄いのかとか、研究者的な感動だとか、今ここまで出来たから次はこうしたいんです!みたいな意気込みとか、何もわかりませんでした。
 一般向けの講演会で単純に可視化した映像だけ見せて、横に文章をつけたところで伝わるのだろうか。
 「今後のスパコン計画への期待」も、個人的な期待を話しているだけで、「はぁそうですか。」くらいにしか思えなかった。「おぉ、なるほど!」には全くならなかった。
 スパコン開発計画の話もあったのですが、中国が1位になりました、とかニュースとかで既にだいぶ大きく取り上げられて知っているし。「スーパーコンピュータのシミュレーションは国家の基幹技術」と強い口調で言われても、なんでそうなのかとか、基幹技術だと思わせるようなワクワク感は0でした。
 パネルディスカッションも、「モデレータ→パネリスト→モデレータ→パネリスト→」と言った感じで、ディスカッションと言うよりは単独インタビュー×複数みたいな感じで、もっとワイワイやって欲しかった。
 会場自体はほぼ満員だったのだけれども、ざっと見た限り年配の方が圧倒的多数で、20代とかたぶん数えるほどしかいなかったように思います。これで「満員御礼、大盛況でした。」とか書かれていたら絶対違うと思います。
 「継続的な維持開発をしたい」とか「子どもが科学者を目指したがるようにしたい」とか言う言葉もありましたが、うーん。
 なんでアカデミックって大体こうなんでしょうか。
 何か良いアイディアを思いついて商品を作ったとしましょう。自分としてはとても魅力的な商品です。
 でも、その商品を作っただけでは何も動きません。何も始まりません。
 料理でも家具でも何でも良いですが、
 ・作ったものをどうやって魅力的に見せるか
 ・どうやったら「買いたい」と言う気になるか
 ・どうやったら勝手に良いうわさ話が広がっていくか
 何かものを作ったり成果を出したら全力でこれらを考えるのが普通です。作ってから、それをどう花開かせるかが本番なはずです。
 研究、アカデミックの世界だって同じはずで、ある分野の研究ばかりやっている専門家同士であれば「この実験結果すげー!」と叫びたくなるような大発見、成果であっても、それをより多くの人たちに伝えることが出来なければ次の予算獲得は難しいでしょうし、新たな共同研究などのきっかけも生まれません。当然、魅力が伝わらない限り、その分野に進もうとする若い世代も永遠に現れません。
 今日のシンポジウムは
 「ちょっと聞いてよ!スパコン京すげーんだよ!!こんなこと出来ちゃんだってさ!5年後にはこんなことまで出来るようになっちゃうらしいよ!」
みたいな興奮やワクワク感は残念ながら全くありませんでした。
 わざわざ神戸から京の模型持ってきたり、新聞広告で大々的に宣伝したり、その分野で偉い方々連れてくれば良いってわけではない。
 あと、なんで国会議員が来ると最初に紹介するのかも意味がわかりません。主催でも後援でもないのに。
 研究者の先生方から直接話を聞くと、自分の専門とは全く異なっていてもワクワクするような瞬間がいくつか必ずあって、そのワクワク感をさらに引き出すように、一般の方にもワクワク感が伝わるようにストーリーを作る。せっかく素晴らしい研究が日本からたくさん生まれているのにもったいなさ過ぎます。こんなんで海外にアピールとか絶対無理だと思うのだけれども。
 で、その「ワクワク感」を引き出す作業と言うのはプロの研究者と同じくらいプロの能力が必要で、そのためにプランナーとかコンテンツクリエーターとかがいるのですが、アカデミックの世界ではなかなか受け入れられない。
 あくまで僕個人の感覚、感想なのでかなりバイアスはかかっていると思いますが。
 文句、不満ばっかり言っていても仕方なく、「じゃあ自分ならどうするのか?」をどこかの段階で示せればと思っています。


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